新薬を生かすために

こんばんは。
今日は管理人、職場のクリニックで
新しい薬のお勉強会に参加しました。
糖尿病治療分野では、今年初頭から立て続けに
今までの薬にない、新しい作用機序を持つ
SGLUT2阻害剤という薬が発売されつつあります。
10社以上から6種類もの薬が上市されるので
製薬業界は大変なことになっているようで・・・。

まあ、そういった業界のことはよいとして、
このお薬がまた、画期的なお薬だそうです。
従来の血糖降下剤は、インスリン製剤のほかに、
すい臓を刺激してインスリン分泌を促すとか
空腹時の糖新生つまり、
食後ではないため食物から糖が供給されないとき
体内に貯蔵されている糖を切り崩して、
血液中に放出するシステムを阻害するとか
糖をどんどん取り込んで脂肪細胞を作るとか
インスリンを出させる消化管ホルモンを不活化させる
インクレチン関連薬などなど
いろいろあったのですが、
今回は、まさに病名の由来となった、糖尿、つまり
血液からあふれる糖を、尿にどんどん出してしまう、という
薬だから驚きです。
今までの薬が、なんとかしてあふれる糖を体に取り込もうとしていたのに対し
いらない糖だから、おしっこに出してしまえば、
からだは栄養が足りなくなり、
内臓脂肪を燃やすから、体重も減少する、というのです。
あ、ついでに言うと、ナトリウムも排泄するから
血圧も下げる、とありますね。

もともと、尿を作っているのは、腎臓です。
体の中の血液が腎臓を通って、
一日当たり180リットルも尿のもとが作られるのですが
このうち99%は漉しとられて、体に戻ります。
さまざまなミネラル、たんぱく質に、
血糖ももちろん。栄養源となるものは、
よほどあふれないと、再利用されるのです。
新薬は、この漉しとるための機構である、
SGLUT(糖とナトリウムの輸送担体)に作用して、
血液中の糖を、尿に排泄してしまう、という薬なのだそうです。

もちろん欠点もあります。
尿が富栄養になるので、細菌が繁殖しやすくなり
尿路感染症のリスクが高まるし
どんどんおしっこになって水分が出てしまうので、
脱水の危険もあります。
尿路感染既往、やせ型、高齢の女性、などには
すすめてはいけないでしょうね、と
今日、うちのボスも申しておりました。

ですが、
食事療法がうまくいかない、メタボタイプの患者さんなどには
体重が減らせる上に血糖がよくなる、ということで進めやすそう。

ん?
てことは、食生活改善なんてしなくても、
血糖も体重も落とせる、つまり、栄養士なんて
要らなくなる?
ノンノン、ぶるんぶるん、えらいことです。
糖尿病治療、という視点からすると、
血糖が下がり、体重が減る、ということは大切だけど
からだはそんな簡単なものではないはず。
ホメオスタシスという、体が現状を保とうとする力があるほど
体重減少は一定の効果の後下げ止まるでしょう。
新薬なだけに、未知数の部分が多いということも言えそうです。
薬の力を借り続けないで良いように、あるいは
脱水や感染症など副作用があることも理解してもらえるよう、
機を捉えて、働きかける必要がありそうです。

おまけ。勉強会のお弁当おいしかったナ(*^。^*)
おまけ。勉強会のお弁当おいしかったナ(*^。^*)

管理人はですから、今日もボスに、
「では逆に、水分摂取量が十分かとか、
飲酒のし過ぎで脱水のリスクがないかなど理由をつけて
患者さんを栄養士との面談に促してくださるといいですよね(^.^)」
と提案しておきました。
新薬の効果を患者さんに生かしてもらうためにも
まだまだできることがありそうです。

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